ROUND 2 · BY THE NUMBERS
実践 · 約16分
第2回 総評——参加者3分の1でも票が減らなかった理由
お笑い帝国大学 第1期第2回のデータを分析し、第1回と比べて何が変わったかを言語化しました。生配信で「秀」に採用された回答と、投票で多くの票を集めた回答を紹介し、優 と 良 を分けている定員のしくみも数字で確かめます。
この回の規模
第1期 第2回は、2025年12月20日から2026年1月10日までの21.1日間、5問が開いていました。 第1回からもっとも変わったのは参加者の数です。実施回そのもののページはこちら、以下はそこからの抜粋です。
17,373名
参加者数。第1回の52,510名から3分の1以下まで減りました。第1回にも参加していたのは13,362名(継続率25.45%)です。
10.29件
1人あたりの回答数。1問あたりの上限は第1回の100件から10件に下がりましたが、1人あたりの回答数は7.09件からむしろ増えています。
3.56票
1人あたりの得票数。第1回の1.64票から2倍以上に伸びました。参加者は減っても、残った人の熱量は上がっています。
| 問 | 回答数 | 参加率 | 投票あり回答率 | 秀の数 |
|---|---|---|---|---|
| 問1 | 42,983件 | 93.24% | 16.31% | 9件 |
| 問2 | 27,508件 | 71.08% | 12.46% | 9件 |
| 問3 | 33,803件 | 79.04% | 8.51% | 9件 |
| 問4 | 37,857件 | 79.40% | 12.02% | 9件 |
| 問5 | 36,655件 | 80.87% | 10.64% | 12件 |
回答総数は178,806件(前回372,533件)、投票総数は61,833票(前回86,225票)。 回答は前回より減っていますが、投票は参加者数ほど減っていません。詳しい評価分布・参加の内訳は実施回のページにあります。
回答の増え方も第1回と似た形でした。初日(12月20日)の回答は9,930件(5.6%)にとどまり、 もっとも多かったのは2日目(12月21日)の32,244件(18.0%)。3日目までの累計は 32.3%です。第1回(初日10.7%・2日目19.4%)と同じく、回答の山は初日ではなく2日目に 来ています。
見えてきた3つの傾向——第1回との違い
第1回の総評で見つけた傾向が、第2回でも同じように出るのか。 比べてみると、続いたものと変わったものがありました。
参加者は激減、熱量は倍増
参加者は52,510名→17,373名。しかし1人あたりの回答数は7.09件→10.29件、1人あたりの得票数は 1.64票→3.56票と、どちらも伸びています。残った人は、より濃く参加している形です。
初日集中は続くが、前回ほど極端ではない
5問の得票上位15件・計75件のうち、初日(12月20日)の投稿は26件(34.7%)。 第1回の86.7%と比べると、かなり分散しています。最初の3日間で見ても65.3%(49件)です。
「秀」と「高得票」が、初めて重なった
第1回は5問すべてで、採用(秀)された人と得票上位の人が1人も重なりませんでした。 第2回では問2で同じ1つの回答が、秀にも得票トップにも入る例が出ています。
3つ目について補足します。問2の「Tボタン」さんの回答「TOKIO戻そう」は、生配信で秀に選ばれた うえで、問2の得票トップ(776票・この回の全回答中でも最多)にもなりました。同じ問3では、 「Hey」さんが秀(「A~C~」)と得票上位(「Continue?」、332票)の両方に別々の 回答で入っています。1つの回答での二冠は、この回で初めて確認できた形です。 ただし、これは例外が出てきたというだけの話です。秀48件のうち34件(70.8%)は1票も 入っておらず、第1回の76.5%からわずかに下がった程度。「秀=高得票」が普通になった わけではありません。
もう1つ、問をまたいだ例も見つかりました。「 ペリペリ」さんは問1(「名前が大谷翔平」559票)と 問4(「サイド刈り上げてもらって、そっぱんげしだけ残しといてください」491票)の両方でその問の得票トップに立っています。第1回の「hiderock」さんは同じ文章を 複数の問に投稿する形でしたが、こちらは問ごとに違う内容で結果を出している点が異なります。
優と良を分けたもの
このあと引用の下に出てくる 優 は、絶対評価ではありません。評価は定員制で、 得票数の多い順(同票なら投稿の早い順)に並べ、上から何件までが 優 かが決まっています。 第2回の5問はいずれも、票が入った回答の上位40%が 優・残り60%が 良、0票は 可という配分でした。
優 8,700件 / 良 13,053件
5問合計。178,806件に対して 優 は4.87%、良 は7.30%。残る87.81%(157,005件)は0票の 可 です。
良は全件ちょうど1票
良 13,053件の得票は平均1.00票・最大1票。第1回と同じく、良 は「1票しか入らなかった回答」と同義です。
優の平均は4.32票→5.51票
優 8,700件が61,833票のうち47,896票(77.5%)を占めます。第1回より 優 1件あたりの票が増えました。
良 が全件1票なら、1票の回答は 良 で終わっていません。同じ1票の回答が 優 と 良 に 割れていて、分けているのは票数ではなく投稿の早さです。
| 問 | 優 | 良 | 1票の回答 | うち優 | 優と良の切れ目 |
|---|---|---|---|---|---|
| 問1 | 2,805件 | 4,206件 | 5,565件 | 1,358件(24.4%) | 12月21日 5:20 |
| 問2 | 1,370件 | 2,055件 | 2,510件 | 453件(18.0%) | 12月21日 15:10 |
| 問3 | 1,148件 | 1,723件 | 2,442件 | 717件(29.4%) | 12月23日 11:43 |
| 問4 | 1,820件 | 2,730件 | 3,637件 | 906件(24.9%) | 12月21日 15:06 |
| 問5 | 1,557件 | 2,339件 | 3,014件 | 674件(22.4%) | 12月22日 21:01 |
ここが第1回との3つ目の違いです。第1回は5問とも切れ目が開始から22〜27時間のところに固まって いましたが、第2回は問1の7.8時間後から、問3の2日14時間後までと大きくばらけました。 とくに問3は、開始から2日以上経ってから投稿して1票を取った回答でも 優 に入れています。 1問あたり10件という回答上限が入り、1票の層そのものが薄くなった(第1回は1問4,900〜7,400件、 第2回は2,400〜5,600件)ぶん、後から投稿しても 優 の枠が残っていた形です。
それでも、優 の中身の多くは1票の回答です。問3は 優 1,148件のうち717件(62.5%)、 問1は48.4%が1票。逆に問2は33.1%まで下がり、2票以上を集めた回答が 優 の3分の2を 占めています。同じ「優」でも、問によって「早かっただけ」の比率はかなり違います。
問ごとの定員と切れ目の時刻は実施回のページの「評価別の投票状況」に 出ています。1票がどう積み上がるかは得票数の読み方で扱っています。
問1
お題(物理)は「不幸のつり合いの問題です。Bの皿に同じだけの不幸を乗せなさい」。天秤のA皿に 「M字ハゲ」が乗った図があり、B皿に釣り合う「同じ重さの不幸」を答える問題でした (公式ページでお題を確認する)。
回答42,983件・参加率93.24%(5問中もっとも高い)・投票あり回答率16.31%(5問中もっとも高い)
採用された回答(秀)
第2回 問1 秀
テレビのインタビューを受けた父がネットのおもちゃになっている
第2回 問1 秀
タイムカプセル埋めたところにイオン建った
第2回 問1 秀(0票)
V字ションベン
3件とも、まったく別の種類の「不幸」を天秤に乗せています。しのさんは公開の場での恥、 あっすんさんは思い出の場所が失われたこと、休日は歩く花さんは身体の粗相。お題が2つの言葉の関係を固定する型では、重さを 揃える軸をどこに取るかで答えの手数が分かれます——「恥ずかしさ」で揃えるか、「取り返しの つかなさ」で揃えるか、「一瞬の失態」で揃えるか。この3件はそれぞれ別の軸を選んでいます。
高い票を集めた回答
第2回 問1 高得票
名前が大谷翔平
第2回 問1 高得票
SASUKEしかない人生
得票上位の2件は、どちらも「M字ハゲ」との対応関係を説明していません。名前が有名人と同じ、 趣味がSASUKE(テレビ番組)しかない——これも一種の「不幸」として提示されるだけで、 天秤の重さが釣り合っている根拠は読み手の解釈に任されています。秀の3件がそれぞれの軸を 律儀に立てていたのとは対照的です。
問2
お題(社会)は「SDGs(持続可能な社会)の実現のために、旬を過ぎた昔のギャグにひと手間加えて リサイクルしなさい」でした(公式ページでお題を確認する)。「ゲッツ」「ガチョーン」 「ドドスコスコスコ」など懐かしい一発ギャグを、今の時代っぽく言い換える回答が並びます。
回答27,508件(5問中もっとも少ない)・参加率71.08%(5問中もっとも低い)・投票あり回答率12.46%
秀 かつ 高得票——この回で唯一の二冠
第2回 問2 秀 かつ 高得票
TOKIO戻そう
ほかの秀・高得票の回答
第2回 問2 秀
心配NISA~~~
第2回 問2 秀(0票)
今さらでしょ
第2回 問2 高得票
おこるで、少し
この問は元ネタの一発ギャグを知っているかどうかで、笑いどころへの距離が変わります。お約束(過去の流行語)を呼び戻す形式なので、 「ゲッツ」「ガチョーン」がすぐ浮かぶ世代と浮かばない世代とでは、同じ回答でも刺さり方が 違ったはずです。Tボタンさんの「TOKIO戻そう」が秀にも高得票にも選ばれたのは、元ネタを 知らなくても「戻そう」という言葉自体で意味が通じる、数少ない例だったからかもしれません。
問3
お題(英語)はそのまま「英語で一言」。腕立て伏せをする高齢男性の写真に、英語で一言を添える 問題でした(公式ページでお題を確認する)。
回答33,803件・参加率79.04%・投票あり回答率8.51%(5問中もっとも低い)
採用された回答(秀)
第2回 問3 秀
YOU LOSE
第2回 問3 秀
No JOB!
第2回 問3 秀(0票)
リンス イン シャンプー!!
「英語で一言」というシンプルなお題ですが、秀に選ばれた3件は方向性がバラバラです。 「YOU LOSE」「No JOB!」はゲーム画面・求人票のような無機質な英語表示を借りていて、 「リンス イン シャンプー」は英語というより英語っぽい響きのカタカナ商品名を そのまま流用しています。「英語で」という制約の解釈の幅が、そのまま答えの幅になっています。
高い票を集めた回答
第2回 問3 高得票
・Continue? ➤ YES NO
第2回 問3 高得票
Mr.Children New Album
得票上位もゲーム画面(Continue?)とCDジャケット(New Album)という「見慣れた画面の一部を 切り取る」型で、秀の「YOU LOSE」「No JOB!」と同じ系統です。単語の意味よりも、どんな画面に書かれていそうかという既視感が効いている問でした。
問4
お題(国語)は「『そっぱんげし』を使って短文を作りなさい」。辞書に無いこの言葉を使って 短文を作る問題でした(公式ページでお題を確認する)。
回答37,857件・参加率79.40%・投票あり回答率12.02%
採用された回答(秀)
第2回 問4 秀
作詞:秋元康 作曲:秋元康 編曲:そっぱんげし
第2回 問4 秀
シンジ、そっぱんげしに乗れ
第2回 問4 秀(0票)
そっぱんげしって、そこ食えんだ!!
「そっぱんげし」は意味の無い言葉なので、答え方は大きく2つに割れます。rockrockさん・しゅんさんの ように、実在する作品(AKB48の作詞クレジット、エヴァンゲリオンのセリフ)の一部に差し 替えるやり方と、じこーまさんのように突っ込むやり方です。 「そこ食えんだ」は意味不明な言葉自体にツッコミを入れることで、 説明を足さずに笑いに変えています。
高い票を集めた回答
第2回 問4 高得票
サイド刈り上げてもらって、そっぱんげしだけ残しといてください
第2回 問4 高得票
草なぎ剛 (なぎは,弓へんにそっぱんげし)
得票上位2件は、どちらも「差し替え」型です(散髪の会話、草なぎ剛の当て字)。この問では 「差し替え」が秀にも高得票にも入っている一方、「突っ込む」型(じこーまさん)は生配信の 評価だけを受けて票は伸びませんでした。1つのお題の中でも、型によって伸びる先が違います。
問5
お題(体育)は「このストレッチを行うとどのような効果が得られるのかを答えよ」。前屈で頭を 抱え込むような姿勢の図とともに、その効果を答える問題でした(公式ページでお題を確認する)。
回答36,655件・参加率80.87%・投票あり回答率10.64%・秀12件(5問中もっとも多い)
採用された回答(秀)
第2回 問5 秀
たのしい
第2回 問5 秀
インフルエンザが見える
第2回 問5 秀(0票)
勃起がおさまる
「ストレッチの効果」という健康番組めいた聞き方に対し、けんぽこさんの「たのしい」は 効果を1語まで削り、はやしだバーディーさんの「インフルエンザが見える」は超能力めいた 誇張に振っています。淀川のチンパンジーさんの回答は、ポーズの見た目(頭を抱え込む前屈) から連想できる身体的な効果をそのまま言い切る、もっとも直接的な返し方でした。
高い票を集めた回答
第2回 問5 高得票
逆もやった方がいいのかな?って感じるようになる
第2回 問5 高得票
2日だけNIKEがスポンサーになる
得票トップの「逆もやった方が」は、ストレッチそのものではなくストレッチをした人の 心理の変化を答えていて、秀の3件(効果を直接言う)とは一段ずらした視点です。 直接答えるか、答える人の反応を答えるか——この問ではどちらの型にも票が付いています。
まとめ
第2回は、参加者が第1回の3分の1以下に減った回でした。それでも投票総数は前回の72%を維持し (86,225票→61,833票)、1人あたりの得票は2倍以上に伸びています。人数が減っても、 場としての熱は落ちていません。
この回でもっとも高い得点(38点)は、問4の「rockrock」さんと問5の「けんぽこ」さんの2人が 並びました。もっとも高い得票は、問2の「Tボタン」さん(776票)で、同じ回答が秀にも選ばれた この回唯一の例です。第1回では採用(秀)と高得票の顔ぶれが1人も重ならなかったのに対し、 第2回では重なる例が2問で見つかっています——2回分を比べて初めて言える違いです。
問ごとに見ると、「差し替え」(既存のフォーマットに言葉を当てはめる)型と「突っ込む」型、 「直接答える」型と「答える人の反応を答える」型のように、同じお題の中に複数の型が 共存し、型によって秀と高得票のどちらに伸びやすいかが違う様子も見えました。 この視点は次回以降も引き続き見ていきます。